諸外国で進む妊娠ストールの禁止

海外での妊娠ストールの規制の動きは、非常に早いものになっています。

OIE

2018年5月25日、OIE(世界動物保健機関)は、陸生動物規約の中の動物福祉規約「アニマルウェルフェアと豚生産システム」を可決しました。この新規章第7.13.12条には次のように書かれています。

成熟雌豚及び未経産雌豚は、他の豚と同様に、社会的な動物であり、群で生活することを好むため、妊娠した成熟雌豚や未経産雌豚はなるべく群で飼われるものとする。

このように妊娠ストールが好ましいものではないということが、国際基準に明記されました。
日本もOIE加盟国のひとつです。この基準は妊娠ストールを禁止するものではありませんが、できるだけ母豚を群れ飼育することがが、日本も求められることになります。

EU

EU理事会指令(Directive01/88/EC, EU 適用)で、2013年1月1日から妊娠ストールを禁止
※種付け後4週間までと、分娩1週間前以降を除く

EUは10年以上の準備期間をもうけて、この規制を施行しました。
「種付け後4週間までと分娩一週間前以降を除く」とありますが、すべての期間において妊娠ストールを廃止しようというプレッシャーがEUでは続いています*1。イギリスやスウェーデンのように、例外なくすべての期間において妊娠ストールを禁止している国もあります*2。
また、日本ではほとんど行われていませんが、ヨーロッパでは母豚を屋外で放牧している農家もいます。EUでは約10%、英国では約40%が屋外飼育だということです*3。
*1 PIG PROGRESS「When to mix sows in groups?」http://www.pigprogress.net/Sows/Articles/2015/12/When-to-mix-sows-in-groups-2708671W/ 
*2 Highlighting the differences – how UK welfare standards compare with our competitors BY ALISTAIR DRIVER ON MAY 5, 2017 http://www.pig-world.co.uk/news/highlighting-the-differences-how-uk-welfare-standards-compare-with-our-competitors.html
*3 alic2017年8月号「EUの養豚・豚肉産業~多様な産地と経営体~」参照

スイス

交配後および出産前の限られた期間をのぞき、妊娠ストールの使用を禁止*
* Voiceless Briefing: Sow Stalls November 2012 “There is an urgent need for a national ban on sow stalls.”

米国

フロリダ(2008),メイン(2011),ロードアイランド(2013),オレゴン(2013), アリゾナ(2013)でストール禁止
カリフォルニアは2015年までに、コロラドは2018までに、ミシガンは2020年までに、マサチューセッツは2022までに、オハイオも2025年までに廃止

ニュージーランド

「Pigs Animal Welfare (Pigs)Code of Welfare 2010」のなかで、2015年以降禁止。

オーストラリア

オーストラリアの豚肉業界は、2017年までに自主的に妊娠ストールを廃止することを決定。 Australian Pork Limitedの2014年の報告では60%がストールフリーに*。 * MEDIA RELEASE TUESDAY 4 MARCH 2014「No stalling on more space for Australian sows」

カナダ

2014年3月、カナダの国立動物福祉協議会(the National Farm Animal Care Council)が豚の飼育について新たな基準を発行、2014年7月1日以降にたてられた施設は、グループ飼育でなければなりません。そのため今後は集団飼育に切り替えを行っていくと考えられます。

南アフリカ共和国

業界が2020年までの妊娠ストール廃止を目標にしている*。
* Retail giants take the lead in animal welfare http://mg.co.za/article/2014-10-06-retail-gaints-take-the-lead-in-animal-welfare

ブラジル

”2005年に「5つの自由」を盛り込んだアニマルウェルフェアに関する基本原則がOIE基準にもうけられたことを契機に、2007年、「動物福祉に関する連邦法案」が策定されました。この法案は、国全体でアニマルウェルフェアに関して規制を設けるもので、妊娠豚の群飼養の義務付け、採卵鶏のケージ飼いの禁止などが盛り込まれていました。残念ながら議会で賛同を得られず不成立となりましたが、これはアニマルウェルフェア法制化に向けたはじめての動きとなりました*1。
2013年9月末には、Associação Brasileira dos Criadores de Suínos(ブラジル豚ブリーダー協会)の要求により、Conselho de Ministros da Câmara de Comércio Exterior(貿易閣僚会議)は母豚の群れ飼育で使用される電子給餌システム の関税を14%から2%へ、付加価値税を17%から5.6%へ引き下げることを決定。
これにより母豚の群れ飼育への切り替えを促進させることになりました*2。
*1 畜産の情報 2018年11月号 ブラジルにおける採卵鶏を中心としたアニマルウェルフェアの取り組みに関する一考察 調査情報部 佐藤宏樹、新川俊一
*2 Progress for pig welfare in Brazil ABCS conquista redução de ex-tarifário para importação de maquinário

妊娠ストール 禁止国

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